注意欠陥多動障害で障害基礎年金2級を受給できた例
1 相談に来られた時の状況
この方は、幼少期から動作が遅いと指摘されており、教えても理解出来ず、運動会の時も一人だけ先に帰ったり、落ち着きがなく、忘れ物も多く、片付けも出来ませんでした。学生時代から友達が出来ず一人で居る事が多かったのですが、音感は良くて、音楽系の短大に入学出来ました。通学方法を覚えるまで母親が同行し、卒業後就職する事はなく、アルバイトをしましたが1カ月も続かず、人と関わりのある仕事は出来ず、周囲からの勧めで28歳の時、本人が拒否し続けていた病院を受診したところ、軽度精神遅滞・注意欠陥多動性障害との診断を受けました。その後B型作業所に就労しましたが、ミスが多く、人とのコミュニケーションが取れず平気で人の邪魔になる動作をしたり、また平気で遅刻したり、行事がある時は休んだりして日常生活にも支障があり、ご家族の方から当相談室に相談があり、その後ご自宅で面談しました。
2 当相談室の見解
ご本人は就労支援を受けながら短時間の仕事をしていましたが、他人とのコミュニケーションが取れず孤立し、日常生活の多くの場面で家族の支援が必要で、障害等級に該当する可能性が高いと判断しました。
3 サポート依頼を受けてから請求までにやったこと
(1)精神遅滞は極軽度という事で、初診日は注意欠陥多動性障害の初診日としました。
(2)ご家族と面談し、診断書作成依頼にあたり、ご本人の就労状況や日常生活状況等を詳細にお伺いし、自己申告書をまとめました。
(3)上記の自己申告書と診断書記載要綱などをセットにし、医師に診断書の依頼をしました。
(4)取り付けた診断書の内容を確認し、発病から現在までの受診履歴や、就労状況等を時系列にまとめて病歴就労状況等申立書を作成し、請求手続きを行いました。
4 結果
障害基礎年金2級の認定通知を受け取る事が出来ました。
精神遅滞の場合は初診日は誕生日となりますが、知的障害を伴わない発達障害の場合は、実際に精神科などを受診した日が初診日となります。そのため、精神遅滞の場合は障害基礎年金での請求となりますが、発達障害の場合は、障害厚生年金を受給できる場合もあります。
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