左右の乳癌で遡及請求3級、現在2級を受給できた例

1 相談に来られた時の状況

この方は10年位前右胸に3㎝くらいのしこりと熱感があり受診し、精査した結果がんは否定され、その後は特に症状もなく、普通に日常生活を送っていました。3年くらい経った頃、右胸に少し大きなしこりと痛みを感じる様になり、再度精査した結果、乳癌との診断を受けました。抗がん剤の投与を開始し、翌年右乳房全摘出術及び腋窩郭清手術を施行しました。仕事も休職後復職困難で退職しました。ホルモン療法を続けましたが腫瘍マーカーが上昇をし、左乳房腫瘤が認められ、左乳癌が判明し、左乳房切除術を受け、術後ホルモン療法を継続しました。その後、骨転移が判明し抗がん剤治療を行い、退院後は身体も衰弱し、自宅でほぼ終日横になっている状況で、ご主人様から当相談室に相談がありました。

2 当相談室の見解

現在は、倦怠感や易疲労感が強く、吐き気、食欲不振、下痢、骨転移による痛みなどもあり、身体も衰弱し、ほぼ終日自宅で横になっている状況で、日常生活は家族の支援を受けながら送っており、障害等級に該当する可能性が高いと判断しました。また、障害認定日時点でも、就労や日常生活への支障が認められたため、遡及請求する事にしました。

3 サポート依頼を受けてから請求までにやったこと

(1)原因傷病である、乳癌の初診日を確定しました。右乳癌と左乳癌は本来は別疾患となりますが、今回は左右の乳癌として、右乳癌の初診日を本件の初診日として同時に請求しました。
(2)診断書作成依頼にあたり、ご本人の就労状況や日常生活を詳しくヒアリングし、自己申告書をまとめました。
(3)上記の自己申告書と診断書記載要綱などをセットにし、医師に診断書の依頼をしました。
(4)取り付けた診断書の内容を確認し、発病から現在までの受診履歴や、就労状況等を時系列にまとめて病歴就労状況等申立書を作成し、初診から1年6か月は経過していませんが、手術日を障害認定日として請求手続きを行いました。

4 結果

障害認定日での遡及請求が認められ障害認定日で障害厚生年金3級、現在時点では2級の認定通知を受け、遡及分を含め約310万の年金を受給する事が出来ました。障害認定日と現在の等級が異なる可能性もあります。場合によっては、額の改定請求書も同時に提出を考えましょう。癌は進行が速い場合もありますので、手続きも迅速に行う必要があります。

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