うつ病・軽度知的障害で障害基礎年金2級を受給できた例

1 相談に来られた時の状況

この方は小中学校時代勉強が苦手で授業にも付いて行けず、高校へ行くことを断念し専門学校に通学しました。卒業後は幾つかの職に就きましたが、嫌がらせがあったり、仕事に付いて行けず、体調を崩したりして自宅に籠るようになりました。頭痛が酷くなり不安も高まり精神科を受診し薬の処方を受けましたが、強すぎて眩暈がして倒れたりしたため、通院を中断しました。その後市販の頭痛薬を大量に飲んだりした為、更に体調が悪くなり、転院し薬の処方を受け月に2~3回の通院を続けながら仕事に就きましたが、飲み込みが遅く、ミスが多かったり、人間関係も上手くいかず、長続きしませんでした。その後、市販の薬を飲み始めた頃、急に不満が爆発して暴れたり、自殺行為も始まり急に症状が悪化しました。次第に食欲がなくなり衰弱し、過呼吸を起こし救急搬送され、その後も入退院を繰り返し、デイケアや訪問看護も利用しましたが、医師の勧めでグループホームに入所しました。金銭面など将来的に心配されたご家族から当相談室に電話の相談があり、その後面談しました。

2 当相談室の見解

ご本人はグループホームに入所し、作業所で短時間だけ作業されていますが、他人とコミュニケーションを取る事は出来ず、グループホームでも殆ど部屋に籠っており、日常生活においても、ホームの方やご家族の支援がなくては困難な状況で、診断名はうつ病でしたが、知的障害も認められるとのことで、障害等級に該当する可能性が高いと判断しました。

3 サポート依頼を受けてから請求までにやったこと

(1)原因傷病であるうつ病の初診日を確定しましたが、軽度ではありますが、知的障害があるため、20歳前障害と判断される可能性もあります。その場合は出生日が初診日となりますが、この方の場合は、うつ病の初診日でも障害基礎年金で、保険料納付要件は満たしていました。また、うつ病でも知的障害でも、障害認定日の受診はなく、いずれにしても事後重症での請求となり、20歳前障害の所得制限に抵触する可能性もありませんでした。
(2)診断書の依頼にあたり、ご本人の日常生活を詳しくヒアリングし、自己申告書をまとめました。
(3)上記の自己申告書と診断書記載要綱などをセットにし、医師に診断書の依頼をしました。
(4)取り付けた診断書の内容を確認し、知的障害があるため、出生から現在までの受診履歴や就労状況等を詳細にお聴きし、病歴・就労歴を時系列にまとめて病歴就労状況等申立書を作成し、請求手続きを行いました。

4 結果

障害基礎年金2級の認定通知を受け取る事が出来ました。
軽度ではありましたが、知的障害とされ、初診日は出生日とされました。今回は知的障害でもうつ病でも不利益はありませんでしたが、うつ病であれば厚生年金なのに知的障害では基礎年金となる場合もありますので、診断名には注意が必要です。

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