双極性障害で障害厚生年金2級を受給できた例
1 相談に来られた時の状況
この方は、幼少期から1人でいる事が多く、忘れ物が多く、計算が苦手でした。就職してからも、人とのコミュニケーションが上手く取れず、仕事においても注意される事も多く、1人で孤立し、職場でのストレスも増大して行きました。転職を繰り返す中、家庭内でも上手く行かず離婚し、精神的ストレスが増大し受診したところ、うつ病と診断され薬を処方されました。職場も転々と変わり、不安と落ち込みが酷く、不眠もありましたが、薬を処方して貰えず、医師との疎通も上手く行かず、通院を止めてしまいました。その後不眠、不安、抑うつ、食欲不振など症状が悪化したため別のクリニックを受診し、双極性障害と診断されましたが、同時に軽度の知的障害との指摘もありました。薬の処方を受けながら通院している状況の中、当相談室に電話の相談があり面談しました。
2 当相談室の見解
ご本人は就労されていますが、他人とコミュニケーションを取る事は出来ず、勤務先でも1人で出来る作業を担当しており、周囲から孤立した状態でした。日常生活においても、金銭管理が出来ず、躁状態の時は金銭の事は考えずに買い物をし、ローンを組んで返済出来なくなったりする事もあり、お金の管理や家事全般をご主人に頼っておられる状況で、障害等級に該当する可能性が高いと判断しました。
3 サポート依頼を受けてから請求までにやったこと
(1)原因傷病である双極性障害の初診日を確定しましたが、知的障害があるため、20歳前障害と判断される可能性もあります。その場合障害基礎年金とされることになるため、知的障害の程度は軽度であり、あくまで厚生年金期間中の双極性障害が主病であるとして請求する必要がありました。
(2)診断書の依頼にあたり、ご本人の日常生活を詳しくヒアリングし、自己申告書をまとめました。
(3)上記の自己申告書と診断書記載要綱などをセットにし、医師に診断書の依頼をしました。
(4)取り付けた診断書の内容を確認し、発病から現在までの受診履歴や、就労状況等を詳細にお聴きし、教育歴も普通学級であり、IQも比較的高いため、知的障害の影響はなく、双極性障害による障害である旨を時系列にまとめて病歴就労状況等申立書を作成し、請求手続きを行いました。
4 結果
障害厚生年金2級の認定通知を受ける事が出来ました。
知的障害については、初診日や保険料納付要件を問われませんので、保険料の未納等がある場合は良いのですが、基礎年金での請求となるため、厚生年金加入期間に初診日がある精神疾患で請求する場合などは不利になりますので、状況に応じて請求方針を立てる必要が生じる場合があります。
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