双極性感情障害の初診日の証明が取れず障害者特例を受給できた例

1 相談に来られた時の状況

この方は20代頃から落ち込み意欲低下の出現があり、30代の時に全身倦怠感で心療内科を受診し、うつ病の診断を受けました。その後躁鬱状態となり退職し、4年位前に別の病院で受診したところ双極性感情障害の診断を受け治療を開始しました。仕事の関係で他県に転居したため体調不良になり、地元に戻り投薬治療となり現在も通院中ですが、改善が見られず、家族の援助を受けながらの生活をされている状況の中、障害年金の請求をしようとしましたが、治療経過が長く、初診日の証明が取れないということで、当相談室に相談の電話があり、その後面談しました。

2 当相談室の見解

ご本人は現在、転躁状態が目立ちコントロール出来ず、日常生活でも苦労していることも多く就労はとうてい出来ない状況で、障害等級に該当する可能性が高いと判断されましたが、治療歴も長く、初診日の証明(受診状況等証明書)の取得が難しいため、障害年金の請求が困難な状況でした。
お話を伺ってみると、確かに初診日の証明は困難でしたが、現在特別支給の老齢厚生年金を受給中ということでしたので、障害者特例の請求を検討することになりました。障害者特例では初診日の証明は不要で、治療開始して1年半以上経過していることが証明できれば請求可能となっています。

障害者特例とは

障害者特例は、60歳前半に報酬比例部分相当の特別支給の老齢厚生年金が受給できる場合、以下の要件を満たしたときは、さらに定額部分が受給でき、年金の受給額が増えるというものです。

・厚生年金保険の被保険者でないこと
・障害等級1級から3級に該当する程度の障害の状態にあること

初診日の証明や病歴・就労状況等申立書の書類の添付も不要で、初診から1年半を超えて治療していることが分かればよく、加給年金の支給もあります。
但し、障害者特例を含む特別支給の老齢厚生年金は課税対象になります。

3 サポート依頼を受けてから請求までにやったこと

(1)原因傷病である、双極性感情障害の初診日を確定出来ませんでした。
(2)診断書作成依頼にあたり、ご本人の日常生活を詳しく丁寧にヒアリングし、自己申告書をまとめました。
(3)上記の自己申告書と診断書記載要綱などをセットにし、医師に診断書の依頼をしました。
(4)取り付けた診断書の内容を確認しましたが、日常生活状況の評価が実態より軽度であると判断し、医師に訂正を依頼しました。
(5)診断書訂正後、請求手続きを行いました。

4.結果

障害者特例の認定通知を受け取ることができました。
60歳前半の特別支給の老齢厚生年金を受給できる方で、治療経過が長く、初診日の証明が取れず、障害年金の請求をあきらめている方は、障害者特例の請求を検討してみることも必要です。

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