家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)について

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1. 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)とは

血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加すると動脈硬化が進み、心筋梗塞などの重大な病気の原因となります。「家族性高コレステロール血症」は、生まれつき血液中のLDLコレステロールが異常に増えてしまう病気です。LDLコレステロールは、肝臓の細胞表面にあるLDL受容体と呼ばれる蛋白によって細胞の中に取り込まれ、壊されます。家族性高コレステロール血症は、LDL受容体の遺伝子やこれを働かせる遺伝子に異常があり、血液中のLDLコレステロールが細胞に取り込まれないで、血液の中に溜まってしまう病気です。私たちの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となって出来ています。LDL受容体やその働きに関わる遺伝子に、この両方に異常がある場合を「ホモ接合体」とよびます。いずれか一方のみに異常が認められる場合を「ヘテロ接合体」とよびます。症状は、ホモ接合体ではヘテロ接合体よりも数段重く、薬剤によるLDLコレステロール低下効果が余り期待できません。ヘテロ接合体では、症状がやや軽く、薬剤による治療が効果を上げる場合が多くなります。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体の患者さんは、血清総コレステロール値が生まれつき非常に高く、通常、450mg/dlを超えます(健常人は120~220mg/dl)。このため、適切に治療がなされないと、幼い頃から動脈硬化が進行して、小児期に心筋梗塞などの命に関わる病気を発症します。

2. この病気の原因はわかっているのですか

この病気の原因は、LDL受容体遺伝子やその働きに関わる遺伝子の異常にあり、その結果、血液中にLDLが溜まってLDLコレステロール値が高くなります。遺伝子の異常を具体的に証明できない家族性高コレステロール血症の患者さんもおられ、この場合は、LDL受容体の働きに関わる遺伝子で、まだ我々の知らない遺伝子に異常があると考えています。

3. この病気ではどのような症状がおきますか

通常、家族性高コレステロール血症ホモ接合体は、乳幼児期の皮膚の「いぼ」状の黄色腫がきっかけで診断される場合がありますし、血液検査でコレステロール値が高いことから診断される場合もあります。成長とともに、結節状にもりあがった黄色腫が認められるようになります。これは、肘や膝、手首、おしり、アキレス腱、手の甲などに多く認められます。

家族性高コレステロール血症では、出生時から総コレステロール値やLDLコレステロール値が上昇し、ホモ接合体の総コレステロール値は450mg/dl~1200mg/dlとなります。このため、家族性高コレステロール血症ホモ接合体では、冠動脈(心臓を養う血管)の動脈硬化が著しく進行します。また、心臓からの血液の出口にあたる大動脈弁や大動脈にも動脈硬化の変化が認められることがあります。


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